赤ちゃんの向き癖は首の関節が回りにくくなっている
赤ちゃんの向き癖に悩んでいる方は意外と多いようで、当院にも多数の赤ちゃんが来院されています。その多くは頭の変形も併発しており、向き癖と頭の変形に関係があることが想像されます。
多くは向いている側の後頭部が平らになるという変形で、反対を向かせようとしても向いてくれないという悩みを抱えているケースが大半です。
反対向きを嫌がるのは首の関節が回りにくくなっているから
反対側を向くのを嫌がるのは首の関節が一部その方向に回りにくくなっており、無理に回すと痛みや不快感があるためです。(注 首の筋肉が短縮してしまう斜頚とは別の状態です)
1番目と2番目の首の骨の間が動かなくなっていることが多い。
向き癖がある場合、上から1番目と2番目の首の骨の間が動きにくくなっていることが多いようです。首を回す動きの半分はこの二つの骨の間で行われるため、この部分が動かなくなると半分程度しか首が回らなくなります。例えば、右は真横まで向けるけれども左は頑張っても45°程度までしか向けないといったことが起こります。
無理に回しても正常な関節が無理に回るだけ
無理やりにでも回していれば回るようになると考えがちですが、それはあまりお勧めできません。なぜかというと首を無理やり回しても、動きにくい関節は動きにくいままで正常に動いている関節だけが大きく動くようになるからです。
そして、動きの悪い関節を治療して動きを大きくすることは可能ですが動きすぎている関節を治療して動く範囲を小さくすることはできません。その場合は周囲の動きの悪い関節を治療して動きすぎている関節の動きが自然に小さくなるのを待つということになります。
回らなくなっている関節を動くようにする治療が必要
では、どのように首を回せるようにしていくかというと、どの関節がどの方向に動きにくくなっているかを正確に調べてその関節だけに力が加わるようにストレッチして動く範囲を広げていきます。
家庭でできる対策
自分で反対を向くようにさせる
手軽にできる対策としては、無理に反対を向かせるのではなく興味のあるものを反対側に置くなどして自分で向こうとさせることが考えられます。
この方法であれば動きすぎになりにくく、反射で筋肉が緩むことが期待できるため動かなくなっている関節が動くようになる可能性があります。
添い寝の時は向きにくい側に自分が寝る
寝るときに自分が反対側に寝て、自分の方を向くように促しているお母さんも多いようです。安全で良い方法だと思います。
ちなみにこの時、十分反対側が向けていなくても反対側を見ようとしているだけでも効果が期待できるので焦らず気長に続けることが大切です。
眠ると後頭部が平らな側を向いてしまう
また、後頭部の片側が平らになっていた場合は眠ると後頭部が平らな側に向いてしまいます。首を自由に回せるようになったとしても力が抜けるとそちらを向いてしまうためです。
そのためドーナツ型の枕などで正面を向かせている方も多いようです。それは良いのですがその姿勢のまま朝まで寝てくれることはほぼありません。気がついたら枕から転がり落ちています。かといって夜中に何度も起きて直すのは現実的ではありません。無理のない範囲で行ってください。自分が体を壊してしまいます。