赤ちゃんの頭蓋骨を治療していてよく見られる問題のパターンに気がつきました。下記はそこから導かれた仮説です。
赤ちゃんの後頭部に片側の変形(左右どちらかが平らになっている)がある場合、そちら側の頭と首の境目の関節に動きの制限がよく見られます。
さらに、硬膜管(背骨の中を通っている管状の膜)の同じ側にも動きの制限がよく見つかります。
この硬膜管、背骨の中だけでなく頭蓋骨の中の膜に続いており、その膜は頭蓋骨の内側を覆うように付着しています。
変形がある側の頭蓋骨は合わせ目の動きに余裕がない場合が多く、それはそちら側の頭蓋骨の内側の膜が突っ張ってしまっているからではと考えられます。
そのため、当院では現在赤ちゃんの頭蓋骨の治療は全例
- 首の動きを正常化させる
- 硬膜管の動きを正常化させる
- 頭蓋骨の合わせ目の動きを正常化させる
という流れで行っています。首の動きを正常化させただけで驚くほど頭皮が柔らかく感じられるようになるケースもあり関連が大きいと考えられます。
ただし、頭と首の境目の関節の制限が頭蓋骨変形の原因なのか、それとも結果なのか、それとも単なる悪化要因の一つなのかは、はっきりしていません。仮に無関係であったとしても正常化させておいた方が利点が大きいと考えられます。
頭と首の境目の関節は、よく頭蓋骨が平らな側の反対に回りにくくなっています。例えば右後頭部が平らな場合、頭と首の関節は左に回りにくくなっていることが多く、頑張って顔を左に向かせてもすぐに右向きに戻ってしまいます。そのため右後頭部の変形が増強されてしまうという側面もあります。
顔を反対側に向かせることを頑張る前に首が自由に回るよう治療することが先決ではないかと考えられます。